卓越した技術に裏打ちされたMADE IN JAPANのモノづくりにこだわり、エアロパーツの開発･製造に携わる老舗メーカー「VARIS」。SUPER GTやSUPER耐久をはじめ数多くのレースカテゴリーの参戦マシンやタイムアタック車両にパーツを供給し、実戦から得たデータを自社製品にフィードバックすることで高品質と高性能を実現している。

東京オートサロン2022の会場には、ハーフタイプのボディキットで構成され、ストリートからサーキットまでさまざまなシチュエーションで性能を発揮するエアロ「ARISING-1」シリーズを装着した車両から、精悍さ際立つワイドボディキット装着マシン、さらにはタイムアタックに向けて開発されたボディパーツをまとう「VARIS 神風YARIS」など、すべてサーキット走行を前提とした8台の車両を展示した。なかでも注目は、新型GR86とBRZ。それぞれ「ARISING-1」のエアロを装着した2台から紹介していこう。

 

軽さにこだわったカーボンパーツで戦闘力を高めた「VARIS GR86 ARISING-1」

「ARISING-1」の開発においては、大パワーを味方につけるわけではなく、ライトウェイトスポーツとしてスポーティな走りを楽しめるようなクルマづくりを目指して、エアロダイナミクスはもちろんのこと「軽量化」にもこだわったという。装着したエアロキット「GR86 ARISING-1」は、86専用フロントスポイラー、サイドスカート、フロントフェンダートリム、リアフェンダートリム、リアディフューザー＆シュラウドセット、クーリングボンネット、カーボンルーフ、86専用GTウイング ハイパーナローⅡという内容。前後フェンダートリムは保安基準対応だが、存在感のあるデザインでよりワイドなフォルムを印象づけ、下回りのエアロパーツもボリューム感がある。

「VARIS」のボディパーツのほかには、まず「BLITZ DAMPER ZZ-R」車高調で足回りを引き締め、「ORIGINAL RUNDUCE ビッグブレーキキット」を装着。タイヤ･ホイールは18インチの「POTENZA RE-71RS（255/35R18）」と「RAYS VOLK RACING NE24（18×9.5J）｣を組み合わせた。また、リアディフューザーの下に覗くマフラーは「BLITZ NUR-SPEC CUSTOM EDITION」をチョイスしている。

 

整流効果と見た目のインパクトを両立したエアロが魅せる「VARIS×ORIGINALRUNDUCE BRZ」

一方、新型BRZはORIGINAL RUNDUCEのタイムアタック用マシンとして製作され、「VARIS ARISING-1」を装着している。ボディキットの基本構成は変わらず、フロントスポイラー、サイドスカート、フロントフェンダートリム、リアフェンダートリム、リアディフューザー＆シュラウドセット、クーリングボンネット、カーボンルーフ、GTウイング ハイパーナローⅡを装着。BRZ/GR86用「ARISING-1」は、大きなダウンフォースを得ることでパワーが削がれることのないよう、整流効果に重点を置いてデザインされている機能第一のパーツなのだが、やはりエクステリアから感じる迫力はノーマルとは違い、美しい仕上がりにも目を見張る。また、クルマの上側に位置するパーツをできるだけ軽くするため、ボンネット、ルーフ、GTウイングはバキューム成形を使って軽さを追求している。

足回りは「HKS HIPERMAXⅣGT SP」をセットし、こちらも「ORIGINAL RUNDUCE ビッグブレーキキット」で制動力をアップ。タイヤ･ホイールは「ADVAN RACING RG4（18×9.5J）」と「ADVAN NEOVA AD09（255/35R18）｣を装着し、マフラーは「HKS HIPERMAXⅣGT SP」に交換した。このように新型GR86とBRZについては、まず「ARISING-1」をラインナップした「VARIS」だが、初代86 ZN6にはワイドボディキットが精悍な「神風86」も用意している。GR86/BRZでもそういったアグレッシブなエアロ開発を進めていくようなので、新たな展開にも期待したい。

 

ディフューザー＆ワイドボディがド迫力のタイムアタック仕様「VARIS 神風YARIS」

東京オートサロン2022は、GR86/BRZのカスタムカーが数多く展示され、アフターパーツも続々と登場。より進化したピュアスポーツカーだけに大きな話題を集めていたが、モータースポーツも含め走りを楽しむにはもってこいの素材といえば、GRヤリスを忘れるわけにはいかない。4WDシステムや3気筒ターボエンジン、高剛性ボディなどに素性の良さを感じているチューナーやアフターパーツメーカーは多く、さまざまなパーツを投入したタイムアタック車両の開発も進んでいる様子だ。そんな中でひときわ注目を浴びていたのが、「VARIS 神風YARIS（GR YARIS KAMIKAZE Ver）」である。

VARISが東京オートサロンでお披露目したVARIS 神風YARISは、タイムアタックに特化したエアロパーツ「神風」シリーズを装着した車両。86、35GT-R、Z34に次ぐ第4弾となるが、幅広タイヤを収め、ダウンフォースを得るための機能的なワイドボディフルキットを開発し、GARAGE G-FORCEのタイムアタック用車両に装着している。

それにしても大きく張り出したフェンダーはインパクト大。前後とも片側50mmワイドになるが、18×11Jの「RAYS VOLKRACING NE24」に295/30R18の「POTENZA RE-12D」という組み合わせのタイヤ･ホイールをきっちり収めている。意表を突かれたのはフロント回り。フルバンパータイプではなく翼端版を備えたフロントディフューザーが取り付けられ、オリジナルデザインを活かしたまとめ方を選択している。とは言え左右への張り出し具合はかなりのもので、タイムアタック車両ならではの凄みを感じた。

そしてサイドステップからリアフェンダーにかけてのデザインも秀逸だが、ルーフをすらりと延ばしたようなスポイラーと、その後端に取り付けたGTウイングも見どころ。とくにGTウイングは1700mmと大型で、ダウンフォースの獲得に大きく貢献する。また、フロントとバランスをとるようにリアにもボリュームのあるディフューザーが取り付けられているのも見逃せない。前後左右どこから見ても大迫力のGR YARISだが、それはタイムを縮めるために開発されたからこその機能美だけでなく、ボディパーツの美しさや存在感、個性にもこだわり続けるVARISの思いが込められているからだろう。メカニズムの開発も進み、圧倒的なタイムを刻む日を心待ちにしたい。

 

さりげなく高性能を装う「VARIS GR YARIS ARISING-1」

ベース車両のデザインを大きく崩すことなくデザインされた「ARISING-1」をまとう「VARIS GR YARIS ARISING-1」。ハーフタイプのフロントスポイラーは純正バンパに合わせたデザインで、ほどよいボリューム感を持たせた。「サイドアンダースカート」も「フロントスポイラー」同様に派手さはなく整流効果を意識した形状にまとめられている。「リアスカート」は下面から巻き込まれた走行風の排出を促すスリットダクト付となり、「マフラー出口の排熱による熱害からリアスカートを守る「カーボンヒートシールド」を組み合わせることができる。また、片側8mmワイドで保安基準適合となる「フェンダートリム（フロント･リアセット）」は、よりワイドなタイヤの装着時に有効なアイテムだ。

一方、GRヤリスをより精悍に見せているのが、「クーリングボンネット」。エアアウトレットが設けられ高い冷却効果を発揮するが、ノーマル比2.2kgの軽量化を実現するのも見逃せない。そしてもうひとつのアイキャッチなアイテムが「GTウイング ハイパーナローⅡ」。ウイングフラップが5段階で角度調節でき、ルーフと繋がるスポイラー上部がカーボン製となっている。このほかに「カーボンルーフ」も盛り込まれていたが、タイヤ･ホイールは「POTENZA RE-71RS（255/35R18）」と「RAYS VOLK RACING TE37 SAGA S-plus（F：18×9.5J）」を装着し、「HKS HIPERMAX S」でローダウンしたスタイルは実に魅力的。エアロキットのトータルな美しさにもこだわる「VARIS」ならではなの仕上がりと感じた。

 

本格タイムアタック仕様に近づいた「VARIS SUPRA ARISING-1 TRACK-EDITION」

2020年には「VARIS SUPRA ARISING-1」を、そしてワイドボディキットで大迫力のフォルムを完成させた「VARIS SUPREME GR SUPRA」をリリースし、GRスープラのカスタムシーンにおいて注目を集めてきた「VARIS」だが、そのラインナップに新たな選択肢として加わったのが「VARIS SUPRA ARISING-1 TRACK-EDITION」である。ネーミングの通り「ARISING-1」をよりタイムアタック向けの仕様とするため、整流効果だけでなくダウンフォースを高める方向でボディパーツをラインナップしている。

ボディキットは、「フロントディフューザー」、「カナード」、「フロントフェンダー」、「フロントフェンダープロテクター」、「サイドアンダースカート」、「リアディフューザー」、「リアシュラウド」、「フェンダートリム（フロント･リアセット）」、「クーリングボンネット」、「カーボンルーフ」、「GTウイング（for street 1520 TYPE2）」という内容。新たに開発したカーボンルーフが設定されたほか、フロントセクションにはよりダウンフォースを得られるように設計された「フロントディフューザー」と、それに合わせてボリュームをアップした「カナード」を用意。さらにタイヤハウス内の空気をスムーズに流すようデザインされた「フロントフェンダー」も新製品となるなど、フルバンパー交換タイプではなくても大幅に戦闘力を向上させる仕様となっている。

ボディパーツのほかには、「KW CLUB SPORT」車高調を装着し、タイヤ･ホイールは「POTENZA RE-71RS（F：255/40R18、295/35R18）」＆「RAYS VOLK RACING TE37 SAGA SL（F：18×9.5J、R：18×10.5J）｣をセット。「Brembo GT KIT」や「HKS SUPER TURBO MUFFLER」も取り付けパフォーマンスアップしている。