• TOKYO AUTO SALON 2022
  • 2022年1月26日

【東京オートサロン2022】独創的なアイデアをカタチにするパワーがすごい!! NATS自動車大学校のブースは今年もスゴいことになっていた【NATS COSMO VISION、NATS JIMNY kimun kamy、NATS NGR-concept、NATS TARGA-STANCE、NATS Low limo】

東京オートサロンではお馴染みのエントラント、「NATS 日本自動車大学校」。“カスタムカーの可能性は無限大”と言わんばかりの自由な発想で斬新なカスタムカーを創りあげ、ブースを訪れる来場者を楽しませてくれる。ベース車の面影 […]

東京オートサロンではお馴染みのエントラント、「NATS 日本自動車大学校」。“カスタムカーの可能性は無限大”と言わんばかりの自由な発想で斬新なカスタムカーを創りあげ、ブースを訪れる来場者を楽しませてくれる。ベース車の面影を残すものから、「これって、もとのクルマなに?」と想像もつかないほどカタチを変えた車両まで、実に多種多彩。昨年展示が叶わなかったクルマも含め、今年は20台ものユニークな車両を会場に持ち込んだ。

その中から、往年のマツダロータリー“コスモスポーツ”をモチーフにリデザインしたNDロードスター「COSMO VISION」、JB74Wジムニーシエラにファットな17インチタイヤの装着と6インチリフトアップによるワイルドなカスタムを施し、全長を40mm延長することで5ドア化した「JIMNY kimun kamy」、現行日産リーフをベースに2040年代の若者にとってのレトロカスタムを創造した「NGR-concept」、以前のオートサロンに出展したRX-7を“有効活用”しワイルドスピードテイストで仕上げた「TARGA-STANCE」、そしてセンチュリーを7mにも及ぶ全長にストレッチした「Low limo」をご紹介しよう。

 

ワイドボディの中に印象的なモチーフをちりばめた「NATS COSMO VISION」

1967年に世界初の2ローター・ロータリーエンジン搭載車として販売を開始したマツダ・コスモスポーツ。“帰ってきたウルトラマン”で劇中車として活躍する様子が記憶の片隅にあったなら、きっとベテランのクルマ好き!? しかし、低く構えたシャープなスタイリングと未来的なプロポーションはいま見ても鮮烈で、コンパクトなロータリーエンジンの長所を活かした稀代のスポーツカーだった。

そんなコスモスポーツを、現代風にリデザインし甦らせるというコンセプトのもとに仕立てられたのが「NATS COSMO VISION」である。ベースとなったのはNDロードスターで、室内に目を向けると 運転席、助手席どちらもBRIDEのフルバケットシートに、ステアリングはナルディ・クラシックに交換されているけれど、それはまさにNDロードスターのコクピット。しかしエクステリアは、コスモスポーツをイメージした各部の作り込みと、ワイドボディにエアサスを組んだローダウンスタイルという2面性を上手に融けあわせつつ大きく大きく変貌していた。

コスモスポーツらしさの演出は、フロントフェンダーから後方へ連なる特徴的なプレスラインの再現や、VWザ・ビートルのパーツを用いた丸目ヘッドランプに見てとれる。そのほかにも、上下二分割のテールレンズはスズキ・ハスラー用、グリル&グリルガーニッシュなどはCX-5から拝借した。一方、片側250mmもワイドになったフェンダーも見どころ。タイヤ・ホイールは9.5J×17インチの「RAYS VOLK RACING TE37V SL 2021LIMITED」と、235/45ZR17サイズの「トーヨー プロクセスR888R」の組み合わせとなるが、それをラクラク飲み込んで精悍さを印象づけている。

 

メーカーに先駆けて5ドアが先行デビュー!?「NATS JIMNY kimun kamy」

kimun kamy=キムンカムイは、アイヌ語で「山の神」という意味を持つという。道なき道を行くオフローダーの頂点といったところだろうが、JB74Wジムニーシエラを5ドア化した「NATS JIMNY kimun kamy」は、派手なリフトアップも相まって実にインパクトのあるカスタムカーに仕立てられていた。現行ジムニー&ジムニーシエラに5ドアが追加されるという話があることからこのカスタムにチャレンジしたそうだが、ボディを40cmストレッチし、ドアを2枚追加した姿は、6ライトウインドーとするなど芸が細かくなかなか完成度が高い。“市販バージョン”もこういうプロポーションかもしれないと、想像をかき立てられる出来映えだった。

そこに「K.BREAK」のオーバーフェンダーやオリジナルアウターロールゲージも組み込み、17インチの「Black Rhino Riot」と「トーヨー オープンカントリーM/T」というワイルドなタイヤ・ホイールを投入。さらに6インチリフトアップを行ったのだから目を引かないわけがない。これに加えてルーフには「FELDON SHELTER クロウズネスト・ルーフトップテン」をセットし、キャンプでルーフトップテントを広げアウトドアを満喫するかのような雰囲気で展示をまとめ上げていた。

 

思い描いたEV世代の“旧車の楽しみ方”を表現、「NATS NGR-concept」

時は2040年代、初めてのクルマはもちろん電気自動車(EV)という若者たちが、ヒストリックカー(つまり“いま”のクルマ)のカスタムをどんなふうに楽しんでいるだろう・・・そんなことを想像しながら創造したのが、「次世代的レトロフューチャー」をコンセプトに掲げ、日産リーフ ZE1をもとに製作された「NGR-concept」である。スムージングを施したような真っ白のボディに、エッジの利いたプレスラインを盛り込んで際立つ個性を主張しているが、グラスエリアとルーフ、ボンネット回りに日産リーフの面影を残すものの、ボディパネルを大胆に再構築した姿にはどこか潔さを感じる。

AIR FORCEのエアサスで実現したローライダースタイルには、ディッシュカバーを採用した19インチのRotiform LAS-Rがよく似合うが、リモコンキーで開くことができればOKとフラッシュサーフェス化してドアノブを廃したところなど、随所にこだわりが覗く。そしてヘッドランプはミニ・クロスオーバー、テールレンズはフィアット500のそれをチョイス。キュートな雰囲気も添えて、カスタムカーならではの世界を生み出していた。

 

スクリーンの中の世界に着想を得た「NATS TARGA-STANCE」

そのバイナルグラフィックスからファンの方ならすぐ“ネタ元”にお気づきだと思うが、「NATS TARGA-STANCE」はハリウッド映画「ワイルドスピード」に登場するマツダRX-7 FD3Sへのオマージュを込めたカスタムカーだ。隣に並んでいたレクサスSC430ベースの「NATS A90spider」もワイルドスピードで活躍した80スープラにインスパイアされ、90スープラのテイストも盛り込みつつ仕立てられていたが、「NATS TARGA-STANCE」はベース車両そのものもFD3S。以前東京オートサロンに出展したRX-7を“リサイクル”して、新たな魅力を注ぎ込んだ意欲作である。

もちろんオリジナルに近づけることを最優先に製作したわけはなく、そこここに遊び心が感じられるのがいい。ワンオフのボディパーツを盛り込みつつ、「RocKet Bunny」のボディキットでワイドフォルムを実現し、ルーフはタルガトップに。大型のリアウイングもさらなるボリューム感を印象づける。バイナルグラフィックスは「ART FACTORY GRAPHICS」が担当。美しい仕上がりを見せるが、「Greddy TD06SH 25G-16 タービンキット」でスープアップしたパワーユニット、AIR FORCEのエアサスによるローダウンなど、メカニズム面も見どころ満載だ。

 

ワンオフだからこそ丁寧な仕事を心がけた「NATS Low limo」

センチュリーと言えばトヨタの最上級セダン。その2代目、GZG50型をもとに、“低く 長く 美しく” をテーマに掲げローライダースタイルのリムジンに仕立てたのが「NATS Low limo」である。ローダウンは油圧駆動で車高を制御する「SKIPPER HYDRAULICS」を投入。ホイール・タイヤは15インチの「T’s WIRE WHEEL」にホワイトリボンという組み合わせとなっているが、これだけボリューム感のあるボディがグッと低く構え、床に張りつくようにたたずむ姿はなんともユニーク。ショーファードリブン前提のプレミアムな国内専用モデルに、アメリカンなカスタムをミックスする発想もおもしろい。

ストレッチしたボディスタイルは“威容”という言葉がピッタリ。ボディを1400mmも延長し、トランクの後方にはスペアタイヤを収めたコンチネンタルキットを取り付けたため、全長は約7mとのこと。少し離れて眺めると、いい意味でアンバランスなプロポーションに笑みがこぼれる。ルーフをレザー張りにしたり、ホンダ・エアウェイブの純正ガラスルーフを2枚取り付けるなど細かいモディファイが盛り込まれていることにも感心させられる。

そして、広大なインテリアスペースも見どころのひとつ。前後シートの間には右側にベンチシート、左側にバーカウンターをレイアウトし、バーガンディとゴールドカラーで彩られた内装は実にゴージャス。けれど、どこか“和”を感じるレトロな雰囲気も漂い、よくあるアメ車のストレッチリムジンとは一線を画す空間が広がる。このあたりのテイストにもNATSならではの遊び心があふれているが、同時に内外装のフィニッシュに見られる丁寧な作り込みが“ユニーク”のひと言では表しきれない「Low limo」の魅力を形作っていると感じた。