• TOKYO AUTO SALON 2022
  • 2022年1月27日

【東京オートサロン2022】モータースポーツへ取り組む姿勢にトヨタの本気が覗く、「TOYOTA GAZOO Racing」のブース【GR GT3 Concept、GRMN YARIS Rally package、GRMN YARIS Circuit package、GR86 佐々木雅弘選手プロデュースパーツ装着車、bZ4X GR SPORT CONCEPT】

レース参戦車両のほかにも、走りを楽しむための提案を盛り込んだコンセプトカーなどを数多く展示して、毎年大きな話題を集めているのが「TOYOTA GAZOO Racing」のブースだ。東京オートサロン2022の出展内容も熱い […]

レース参戦車両のほかにも、走りを楽しむための提案を盛り込んだコンセプトカーなどを数多く展示して、毎年大きな話題を集めているのが「TOYOTA GAZOO Racing」のブースだ。東京オートサロン2022の出展内容も熱い。FIA 世界耐久選手権 ルマン24時間レース2021年優勝車両「GR010 HYBRID」や、2021年のSUPER GT GT500クラスチャンピオンを獲得した「GR Supra GT500 TGR TEAM au TOM’S」、全日本ラリー選手権のトップカテゴリーJN1 クラスに参戦する「GR YARIS GR4 Rally」など、モータースポーツで輝くマシンを間近で見ることができた。

その一方で、レクサス初の水素エンジン搭載車「ROVコンセプト」や「レクサスNX450h+」をベースに野山を駆けるスタイルに仕立てた「NX PHEV オフロードコンセプト」といった、これからのクルマを透かして見せたモデルも披露。さまざまな要素が盛り込まれた展示で楽しませてくれたが、大きな注目を集めたのは世界初公開となった「GRMNヤリス」と「GR GT3コンセプト」の2台だろう。

 

鍛え抜かれた500台のみのエボリューションモデル「GRMN YARIS」

2020年にやはりこの東京オートサロンをワールドプレミアの場に選び、いまでは4WDスポーツとして大変な人気者となっているGRヤリス。そのフルチューニングモデルとして用意されたのが「GRMNヤリス」だ。500台の限定モデルで販売はWEB予約申込を行った方からの抽選となり、2022年夏ごろ全国のGR Garageでの発売を予定している。

GRヤリスはモータースポーツのさまざまなカテゴリーに参戦しトヨタも車両開発に関わっているが、その過程の中でエボリューションモデルを販売しようという案が生まれたそうで、実戦からのフィードバックをもとに幅広く手が入れられている。まず、スポット溶接打点数を545点も増やし、構造用接着材を12m長く塗布することでボディ剛性をアップ。そしてカーボン製のフードやルーフ、リヤスポイラーの採用のほか、リヤシートを取り去り乗車定員を2名としたことにより約20kgの軽量化を実現した。これに加え、車高を10mmローダウンしたことによるに低重心化、全幅の10㎜拡大によるエアロダイナミクス改善なども行っている。

さらに1.6リッター直3ターボユニットは、最高出力こそ変わらないものの最大トルクは390Nm/3200-4000rpmへと20Nmアップ。駆動系や足回りの見直しも行い、性能を向上させた機械式LSDやクロスギアレシオトランスミッションとローファイナルギヤのセットを投入。また、プロドライバーによる走り込みによって制動力やグリップ、コーナリング性や路面追従性も向上させ、より安心して速く走れるクルマへと進化しているという。

さらに興味深いのが標準グレードの「GRMN YARIS」のほか、「GRMN YARIS Circuit package」と「GRMN YARIS Rally package」という2種類のパッケージオプションが用意されることだ。「サーキットパッケージ」はカーボン製リアスポイラーやフロントスポイラー、BBS製専用18インチ・ホイール、ビルシュタイン製ダンパーなどを装備し、サーキットやストリートでその性能を存分に発揮する仕様。これに対して「ラリーパッケージ」は、アンダーガードやロールバー、専用ダンパーとショートスタビリンクなど、ラリーやダートトライアルへの参戦を想定したアイテムが与えられている。

ブースには、エモーショナルレッドⅡのボディカラーが鮮やかな「GRMN YARIS Rally package」と、限定50台の特別色「マットスティール」をまとった「GRMN YARIS Circuit package」を展示。価格はGRMNヤリスが731万7000円、サーキットパッケージ846万7000円、ラリーパッケージが837万8764円となっているが、GRMNヤリスに込められた進化の内容を考えれば、これはバーゲンプライスと言えるかもしれない。

 

世界中のサーキットを席巻する日も近い!?「GR GT3 Concept」

TOYOTA GAZOO Racingは、レースに参戦する車両を市販供給することで世界中のエントラントをサポートする「カスタマーモータースポーツ活動」を積極的に進めている。これまでも「GT4」レース規定の「GR スープラGT4」といった競技ベース車両を供給してきたが、新たなステップへと踏み出すために開発を進めているマシンをお披露目した。それが「GR GT3 Concept」である。

「GR GT3 Concept」は、カスタマーモータースポーツの最高峰として人気の高い「GT3」参戦のための競技専用車両。「GT3」規定に準拠した車両と言えば、ポルシェ911や日産GT-R、メルセデスAMG GT、アウディR8 LMSなどが知られるが、トヨタも「レクサスRC F GT3」を用意していた。「GR GT3 Concept」はドライバーファーストのクルマづくりを推進し、モータースポーツに関わるカスタマーに選んでもらえる魅力的なクルマを提供したいという思いで実戦への投入を目指しているという。

現状で発表されているスペックは、全長4590×全幅2040×全高1140mm、ホイールベース2725mmというボディディメンジョンのみ。ロングノーズショートデッキのプロポーションは実にスタイリッシュだが、まだまだベールに包まれている部分が多い。今後どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみだが、モータースポーツの現場で得た知見、磨いてきた技術を量販車開発でも生かし、トヨタの「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」をさらに推進していくために欠かせない一台となるのかもしれない。

 

GROW Designのエアロが魅せる「GR86 佐々木雅弘選手プロデュースパーツ装着車」

2021シーズンのモータースポーツ界では、水素エンジン搭載のカローラスポーツで、“MORIZO選手”がスーパー耐久に参戦したことが大きな話題になった。そのカローラスポーツのドライバーのひとりとしてステアリングを握り、さらにはGR86の開発にも携わった佐々木雅弘選手がプロデュースし、自ら立ち上げたブランド「GROW Design」のアイテムで魅力を際立たせたのが、ここに紹介する「GR86」である。

佐々木選手はTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceのシリーズチャンピオン獲得という実績も持つが、「GROW Design」はこだわり抜いた「自分が欲しいこだわりのパーツ」を提供すべく開発を行っているという。「GROW Design」には「走る楽しさと魅せる美しさを育む」という思いが込められており、今回展示された「GR86」には、エアロパーツとスポーツサスキット、エキゾーストシステムが装着されていた。

「GROW Design」のボディパーツは、「ノーマルエアロを引き立てる、エレガントでさりげない、大人の質感」がポイント。展示されたGR86は、フロントおよびリアのオーバーフェンダー、フロントディフューザー&ガーニッシュ、フロントカナードフィン、リアディフューザー、サイドディフューザーを装着し、より美しいスポーツクーペへとアップグレード。佐々木選手自身が開発に携わった「POTENZA RE-71RS」と、鍛造1ピースホイール「Prodrive GC-0100s」の装着も相まって、スポーティかつ上質感たっぷりなエクステリアとなっている。

また、足回りにも手が加えられ、「GROW Design × HAL springスポーツサスキット」をセット。GR86の開発ドライバーだけに純正ダンパーを知り尽くした佐々木選手と、スプリングの特性・設計のスペシャリストであるHALspringsが、乗り心地・運動性能を重要視し共同開発した純正ショックアブソーバー専用のスプリングだ。スポーツサスに専用ハイトアジャスターをセットにすることで車高調整が可能で、車高調整範囲は純正比-10~-30mm(設計目標車高値)となっている。

もうひとつの装着アイテムは、フジツボと共同開発した「GROW Design × FUJITSUBOエキゾーストシステム」。パワーフィールや大人の音質はもちろん、テールカットや焼き色にもこだわった一品だ。焼き色がどの角度からも見てもはっきりとわかるように、エンドを17ミリロング化。バンパーとマフラーエンドの位置が絶妙にマッチするよう見た目にもこだわり抜いたマフラーだ。

 

 

発売前のBEV SUVをスポーティに仕立てた「bZ4X GR SPORT CONCEPT」

2021年末、トヨタは2030年までに30車種のBEV(バッテリー式電気自動車)をラインナップすると発表し、BEVの世界年間販売台数目標を350万台へと上方修正した。さまざまなパワートレインの開発を全方位に進めていくことを強調したものの、トヨタがBEVの販売を積極的に行う道へ舵を切ったことに大きな衝撃が走った。豊田社長の後方にずらりと並んだBEVのコンセプトモデルの姿は記憶に新しいが、その先陣を切るように2022年半ばの発売が予定されているのがミディアムセグメントSUVの「bZ4X」である。

「bZ4X」は、トヨタの新BEV「bZシリーズ」の一台。新しい時代を迎えるクルマとして、乗員全員が一緒に楽しい時間や空間を共有できる「絆」のような役割を担いたいという意志を込めた「Activity Hub」というコンセプトを掲げている。インテリア、スタイリング、運転感覚、走行性能など、それぞれの分野で革新にチャレンジ。ワクワク感のあるクルマを目指した。また、e-TNGAの考え方に基づくBEV専用プラットフォームを採用し、滑らかで意のままになる走行性能と、本格SUVとしての走破性を追求している。

そんな「bZ4X」をもとにしたスタムコンセプトカーが「bZ4X GR SPORT CONCEPT」である。マットグレー(ハーフグロス)のボディカラーに凄みを感じるが、バンパーや前後フェンダーは艶ありのブラックとして造形を際立たせている。さらに欧州向けに販売されているブリヂストンのハイパフォーマンスタイヤ「POTENZA SPORT」と、「TOYOTA GAZOO Racing」のロゴをスポークにあしらった専用ホイールでインチアップ。これに加えてほどよくローダウンすることにより、実にスポーティな装いに仕立てられている。「bZ4X」登場の際には、ぜひ「GR SPORT」もラインナップしてほしいものだ。