【東京オートサロン2019】ダイハツが本格レーシングカー!? フルレストアされた「P-5」
「かわいい」と「かっこいい」がとけあった楽しいブース 多彩で華やか、その場に身を置くだけでなんだか気分が上がる雰囲気が、ダイハツのブースにはあふれていた。クルマ好きとおぼしき彼氏とやってきた20代前半の女の子に話を聞いた […]
「かわいい」と「かっこいい」がとけあった楽しいブース
多彩で華やか、その場に身を置くだけでなんだか気分が上がる雰囲気が、ダイハツのブースにはあふれていた。クルマ好きとおぼしき彼氏とやってきた20代前半の女の子に話を聞いたら、「クルマのことはよくわからないけど、可愛いいデザインばかりで楽しかった。かっこいいスポーツカーみたいなのも好き」とのこと。そうそう、120%女子狙いのコンセプトカーだけでなく、当初はアナウンスされていなかったコペンGRスポーツコンセプトやミラ・トコットのスポルザ・バージョンなど、スポーティテイストを押し出したモデルもとっても印象に残る展示内容。そして、そんな「ダイハツはかわいい軽カーだけじゃないよ」という心意気を最も感じさせてくれたのが、「P-5」なのである。
小排気量でパワフルなライバルに挑んだダイハツらしい歴史
ひと目でわかるように、これから登場する新型車ではないし、現行モデルの特別仕様でもない。1960年代末に活躍したレーシングカーだ。日本のサーキットでも戦績を残す、当時の高性能プロトタイプスポーツ、ポルシェ906そっくりなのはご愛敬。実物を目にすると、ダイハツが本気でモータースポーツにチャレンジしていたことがひしひしと伝わってくる。エアロダイナミクスを追求したFRP製カウル、ミドシップレイアウト、鋼管フレームシャシー、前後ダブルウィッシュボーンのサスペンションなどなど、本格的な内容を持っていることがわかる。搭載されるR92B型 直列4気筒エンジンにも、DOHC4バルブというこの頃の最先端技術が盛り込まれているのだが、排気量は1298cc。トヨタや日産のスポーツプロトタイプマシンと伍して戦うことは難しかったけれど、その果敢な挑戦に大きな声援があがったという。
レガシーから何かを読みとって、未来につなげるのが大事
ダイハツは’60年代にコンパーノ/コンパーノスパイダーという1000ccクラスの乗用車を販売していて、これを用いレース活動をスタートした。その後、コンパーノをモディファイし、P-1、P-2というマシンを開発。さらに’66年に外観を大きく変え、1.3リッターのDOHC4バルブを搭載したプロトタイプスポーツ、P-3で日本グランプリなどに参戦する。そして、P-3で開発が進められたR92型エンジンを搭載し、より本格的なミドシップレーシングカーとしたのがP-5だったのである。
P-5は’68年の日本グランプリでクラス優勝を果たすなど結果を残すが、その後ダイハツはサーキットにおける活動を終え、P-5は伊丹の倉庫にひっそりと置かれたままになっていた。そんなP-5を誕生50周年にあわせて、社内の有志がこつこつとレストアを行い当時の姿が復活。実際に走行ができるまでに仕上げられたのである。
近年自動車メーカーは自社のヘリテージを重要視する傾向にあるけれど、こういった取り組みが東京オートサロンでも数多く見られるようになるとじつにうれしい。P-5の展示の傍らに、キッズ用のかわいい黄色いツナギが用意され、記念写真が撮れるようになっていたのにも好感が持てた。子どもたちにも、こんなクルマが心に残ってくれたら、ほんとにいいなぁ。