【東京オートサロン2022】全長7m!けれどユニークだけではないセンチュリーのストレッチリムジンは、丁寧な作り込みがその魅力をきわだたせる【セダンカー部門 最優秀賞NATS Low limo】
数多くのカスタムカーを展示し、毎回強烈なインパクトを与えてくれるNATS 日本自動車大学校。東京オートサロン2022も“定番”にとらわれない斬新なコンセプトのカスタムカーを14台も展示し、来場者を楽しませてくれた。NAT […]
数多くのカスタムカーを展示し、毎回強烈なインパクトを与えてくれるNATS 日本自動車大学校。東京オートサロン2022も“定番”にとらわれない斬新なコンセプトのカスタムカーを14台も展示し、来場者を楽しませてくれた。NATSではクルマの整備や修理などを学ぶ一環としてカスタムカーを製作し東京オートサロンへ出展しているが、聞けば1台の予算は100万円までと限られているそうだ。もちろんそれ以外に協賛企業などのサポートもあるのだろうが、こだわりを感じる仕上がりを目にすると、情熱を持って挑まなければこのような取り組みは続かないだろうと思う。
今回は、JB64Wジムニーにファットな17インチタイヤの装着と3インチリフトアップによるワイルドなカスタムを施し、全長を40mm延長することで5ドア化した「JIMNY kimun kamy」や、現行日産リーフをベースに2040年代の若者にとってのレトロカスタムを想像し創造した「NGR-concept」。さらにコスモスポーツをモチーフにリデザインしたNDロードスター「COSMO VISION」や、以前のオートサロンに出展したRX-7を“有効活用”し、ワイルドスピードテイストで仕立て直した「TARGA-STANCE」などなど、多彩な顔ぶれがブースに並んだ。
そんな中でひときわ異彩を放っていたのが「Low limo」である。トヨタの最上級セダン、センチュリー(2代目、GZG50型)をもとに、“低く 長く 美しく” をテーマに掲げローライダースタイルのリムジンに仕立てている。ローダウンは油圧駆動で車高を制御する「SKIPPER HYDRAULICS」を投入。ホイール・タイヤは15インチの「T’s WIRE WHEEL」にホワイトリボンという組み合わせとなっているが、これだけボリューム感のあるボディがグッと低く構え、床に張りつくようにたたずむ姿はなんともユニーク。ショーファードリブン前提のプレミアムな国内専用モデルに、アメリカンなカスタムをミックスする発想もおもしろい。
ストレッチしたボディスタイルには驚きしかない。ボディを1400mmも延長し、トランクの後方にはスペアタイヤを収めたコンチネンタルキットを取り付けたため、全長は約7m(!)少し離れて眺めると、いい意味でアンバランスなプロポーションに笑みがこぼれる。ルーフをレザー張りにしたり、ホンダ・エアウェイブの純正ガラスルーフを2枚取り付けるなど細かいモディファイが盛り込まれていることにも感心させられる。
そして、広大なインテリアスペースも見どころのひとつ。前後シートの間には右側にベンチシート、左側にバーカウンターをレイアウトし、バーガンディとゴールドカラーで彩られた内装は実にゴージャス。けれど、どこか“和”を感じるレトロな雰囲気も漂い、よくあるアメ車のストレッチリムジンとは一線を画す空間が広がる。このあたりのテイストにもNATSならではの遊び心があふれているが、同時に内外装のフィニッシュに見られる丁寧な作り込みが“ユニーク”のひと言では表しきれない「Low limo」の魅力を形作っていると感じた。